11月06日のマーケット

2012年11月06日のニュース、経済指標などをまとめました。市場は米大統領選とギリシャの行方を見守る形となっています。


ニュース

●日本①「円キャリー増え円安要因に、新貸出制度で緩和の結果−早川日銀理事」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD1HTT6JIJXQ01.html

日本銀行の早川英男(金融システム担当)理事は、日銀が新たに打ち出した無制限の貸出支援制度が外貨建て融資も対象としていることについて「新制度により超低利で円資金を調達し外貨で運用する円キャリー取引が増加し、結果として自国通貨安につながる可能性がある」との見方を示した。

「日銀が外債を買うという議論は、国際的にはルール違反に近い世界だが、この枠組みの下で円キャリー取引が起こって円安要因に働くとしても、それは金融緩和の効果として為替市場に影響が出るということなので、ルール違反ではない」

「主たる目的ではないが、結果として自国通貨安につながることは金融緩和の一環である、というのは、国際的にも一般的な理解だし、日銀においても同じだ」

「誰かが為替リスクを取ることになるので、それはそれで注意しなければならないことではある」

新貸出制度の狙いについては、金融機関が貸出に前向きになるよう促したいと語る。預金は集まるものの貸出は伸びず、有価証券投資を増やしている。保有債券の長期化を通じて市場リスクを抱え込んでいる。利益も上がらない上、経済の成長を支えるという機能も果たせない。

結果的に、新制度により貸出金利が下がり、利ざやが縮小し、金融機関の収益が減る可能性も指摘されている。民間金融機関の意見も聞いて、できるだけ使い勝手が良く、金融機関の前向きの行動を促す制度設計をする必要がある。

なお、金利リスクについては

・1%上昇 → 銀行の自己資本基盤が大きく損なわれることはない。
・2%上昇 → 保有国債時価損失発生+銀行が自己資本比率低下を回復させようとして、貸出態度を慎重化(=実体経済はマイナス成長に転じる)

・上昇要因① → 欧州情勢の緊張/ドイツの財政負担増加が懸念して飛び火。
・上昇要因② → 米国の長期金利が抑えられている = 経済情勢の好転がはっきりすると大幅に上がって飛び火する可能性。
・上昇要因③ → 日本国内で財政再建の努力が不十分 = どこかの時点で財政の持続可能性に対する懸念が急速に高まり、長期金利が急上昇する恐れ。

(『金融システムリポート』より)



●日本②「中国など海外勢が狙う日本の水、森林買収進む−温暖化で世界的に不足 」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD04GT6K50XS01.html

取得目的や届け出などの規制が緩やかな日本の土地取引。その間隙を突いて、中国など外国資本による格安な森林取得が目立っている。世界的な飲用水の獲得競争が背景にある。

case1:北海道真狩村でミネラルウォーターを販売するジャパン・ミネラルの小熊盛弘社長の元には、外国人投資家が同社を買収したがっているとして、一時期、毎日のようにブローカーから照会の電話が掛かってきた。小熊氏は「金額はいくらでもいいという話が多かった。要するに水利権が欲しかったのだろう」と振り返る。

林地価格(山林から木を除いた価格)
・今年3月現在、1平方メートル当たり約47円。
・輸入材の増加で木材価格が急落したのを背景に林地も下落。
・ピークだった1983年の89円の約半分。

外国人の森林買収
・2011年で157ヘクタール(14件)
・前年の45ヘクタール(同10件)の3倍以上
・06−10年の5年間の累計では620ヘクタール(40件)
・このうち北海道が約600ヘクタールを占める

森林取得の背景
・地下に豊富に蓄えられた上質な水資源
・水資源のランクで日本は上位10%
・人口増の続く中国やインドは30年から水不足に陥る
・温暖化→30年には水不足に直面する人口が39億人(+10億)に達する

北海道は外国資本による森林買収が集中
・道独自の調査で把握した外国人の森林取得件数は57件
・このうち中国が21件を占める
・英国領バージン諸島が9件(税の関係でここに登記=ほとんどが香港)
・残りはシンガポール8件、オーストラリア5件など

case2:富士山の麓に広がる静岡県富士宮市。地下に眠る豊かな水源を求めて、さまざまな企業の飲料水工場が点在する。もともと繊維業を営んでいたセブンイエロー(京都市)は、中国人の出資者から持ち掛けられて、この地で自社ブランドの飲料水工場を立ち上げた。

ペットボトル(500ミリリットル)の販売価格
・日本向けが100−120円
・中国向けは150−200円と高い
・中国向けの輸出は多い月で約8割を占める

問題なのは森林がなくなること。保全につながるのであれば、中国資本が入っているからといって問題はないはずだと強調した。

一方、11年にシンガポール人による43ヘクタールの土地取得が行われた群馬県嬬恋村は、地下に眠る水資源は地元にとって重要な資源だとし、土地取得を阻止するための条例制定など対応を急ぐ方針を表明した。

外資による森林買収増加を受け、北海道は水源となる土地の取引については、事前届け出を義務付ける水資源保全条例を独自に施行した。海外では土地取引の届け出強化にとどまらず、食糧安全保障などの観点から用途によっては外国人による取得制限をかけている国もある。

※参考:東京財団『失われる国土』
http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=886

※参考:静岡県富士宮市
写真やfacebookページを見てるだけで癒されます。かなりの地元です。
http://www.city.fujinomiya.shizuoka.jp/

※参考:北海道真狩村
シンプルでオサレ。Web担当の方は良い仕事してますね。人口2000なのに。
http://www.makkari.info/



●米国「米アップル、Mac用半導体インテルからの切り替えを検討」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD199C6S972D01.html

米アップルはパソコン「Mac(マック)」の半導体について、インテル製から同社がスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」やタブレット端末「iPad(アイパッド)」で使用している半導体仕様に変更することを検討している。

アップルは現時点でコンピューター製品に関してインテルにコミットしており、今後数年間に切り替える公算は小さいものの、一部の技術者らは、モバイル端末とパソコンの機能が一段と似てきているため必然的に自社デザインの半導体に切り替わっていくだろうとしている。

どのような変更であっても、世界最大の半導体メーカーであるインテルにとっては打撃となる可能性がある。同社はすでにマイクロソフト 製基本ソフト(OS)を搭載したパソコンの不振に加え、モバイル端末分野での足場固めもできていない。

アップルは過去数年間にわたり半導体企業を買収して技術者を増やし、英ARMホールディングズ の技術に基づいた半導体をアイフォーンやアイパッド向けに開発してきた。ARMは半導体デザインや関連技術をクアルコムなど携帯電話用半導体メーカーにもライセンス供与している。  



●豪州「豪中銀:政策金利据え置き−世界経済安定の兆しなどで」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD1RSU6KLVRA01.html

オーストラリア準備銀行(中央銀行)は6日、世界経済の安定化と国内のインフレ加速に伴い、政策金利 を先進国で最高の水準に据え置いた。政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を3.25%で維持すると発表。

声明で、「物価統計が予想をやや上回ったほか、世界経済に関する最近のデータは若干明るさを増しており、金融政策のスタンスは当面適切と判断した」と説明。豪州はインフレリスクへの警戒がなお必要な数少ない先進国の1つであり、今回の据え置き決定はそうした豪州の状況を反映している。

貿易主導型の豪経済は成長を中国の資源需要に依存しており、米景気拡大ペースが加速しているにもかかわらず、豪ドルは依然として米ドルに対して等価を上回る水準にある。

声明には世界の見通しや国内の雇用市場、商品価格の下落に比べて高水準にとどまっている豪ドル相場など当局者が懸念すると思われる問題が多く提起されている。これは今後、一段の緩和があり得ることを示している。



G20財政赤字削減への姿勢緩和、成長への影響配慮−声明」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD0ZCX6TTDVU01.html

G20(20カ国・地域)財務相中央銀行総裁は、米国などによる財政緊縮が世界経済の成長を一段と阻害する恐れに配慮し、財政赤字削減に専心する姿勢を緩めた。弱い景気拡大に言及し「回復を支援する上で適切な財政再建ペース」を確実に維持すると表明。

G20の先進国は2年前に財政健全化を進める方針で合意したが、今回の表明により、成長を阻害しない形での財政再建への方向転換が明確になった。以前は財政緊縮が最善と考えられていたが、市場は現在、そう思ってはいないようだ。政治家は、実行可能な目標について現実的になる必要があると認識している。

大統領選挙の投票を翌日に控えた米国は、赤字削減ペースを「慎重に調整する」と約束した。同国は6070億ドル(約49兆円)規模の税負担増と強制的な歳出削減といういわゆる「財政の崖」に直面している。

声明は日本に対し、対国内総生産(GDP)比237%にある債務水準の抑制に向け一段の措置を取るよう促し、欧州には銀行監督一元化などの新たな危機対策を先延ばししないよう求めた。

G20はこのほか、より市場主導型の為替制度への移行迅速化や、通貨切り下げ競争の自制、永続的な為替不均衡の回避といった目標をあらためて示した。新たな世界共通の銀行規則を完全かつ適時に実施する方針も再度表明した。


経済指標

日経平均株価 8975円15銭 前日比32円29銭(0.4%)安
TOPIX 744.88 前日比3.07ポイント(0.4%)安
USDJPY 79.96〜80.30 ※80.24で前日比-0.052(0.064%)
EURJPY 102.18〜102.88 ※102.75で前日比+0.014(0.014%)
10年物債券 利回り0.76% 前日比-0.5ベーシスポイント(bp)

※為替レートは11月07日00:01時点で前日同時間、Bloombergマーケット速報より。



[国内株価]
日本株は続落、欧州や円高警戒し輸出、金融安い−業績懸念の海運も
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD1DQJ07SXKX01.html

東京株式相場は続落。ギリシャに対する救済融資の不透明感から為替市場で円高が進み、欧州情勢や為替への警戒で機械、電機といった輸出関連株、銀行やその他金融など金融株が売られた。野村証券が大手3社の業績予想を下方修正した海運株は、東証1部33業種の下落率でトップ。ガラスやトヨタは堅調だった。

米国時間6日に米大統領選と上下両院議員選を控え、こう着感の強い展開だった。米大統領選後は上下いずれかにもみ合い放れとなる可能性がある。上院の勢力図も財政の崖の対応に影響を与えかねないとあって、積極的な売買は見送られた。

手掛かり材料に乏しい中、売りのきっかけにされたのがギリシャ情勢だ。ギリシャ向け救済融資の実行に必要な合意に至らない可能性がある。同国の対応が遅いことをマーケットが気にし始めており、ユーロが続落、円が買われる場面があった。



[外国為替]
ユーロ対ドル2カ月ぶり安値圏、ギリシャ情勢の不透明感重し
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD1FPM6JIJVC01.html

東京外国為替市場では、円がドルに対して一時1ドル=79円台に上伸した。ギリシャの緊縮財政措置の議会採決を控え、同国向け金融支援の実施をめぐる不透明感を背景に、リスク回避に伴う円買い圧力が強まった。

ドル・円相場は一時79円96銭と3営業日ぶりの水準まで円高が進行。午後3時43分現在は80円05銭付近で取引されている。円は対ユーロでも一時1ユーロ=102円27銭と、5営業日ぶりの高値を付け、同時刻現在は102円42銭付近で取引されている。

ギリシャの議会で財政緊縮案が通らなければ、追加の支援が難しくなり、またユーロ圏からの離脱リスクが高まる。リスク回避に伴う円買いも増えてくる可能性がある。連立与党内での足並みの乱れなどを背景に否決の可能性が意識されている。

また、米国の大統領選挙でオバマ大統領が勝利すれば、これまでの緩和政策が維持されるとの見方から、ドル安の連想が働きやすいとのこと。一方で、ロムニー氏が勝利すれば、「株高・債券安」につながり、ドルが買われる展開を見込んでいる。



[債券]
債券は続伸、株安や欧州懸念で買い優勢−米大統領選の結果を見極め
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD1DEP6K50ZP01.html

債券相場は続伸。前日の米国債相場が根強い欧州債務問題を背景に上昇した流れを引き継いだほか、国内株安も買い手掛かり。もっとも、6日の米大統領選挙の結果を見極めたいとして、積極的な取引は控えられた。持ち高を傾けにくい中で、株安を受けて債券は小じっかりと言ったところ。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物の325回債利回りは同0.5ベーシスポイント(bp)低い0.76%と10月30日以来の低水準で始まった。午後に入っていったん0.765%を付けたが、3時前後から再び0.76%で推移している。

ピュー・リサーチ・センターが10月31日−11月3日に全米で実施した世論調査では、支持率は48%対45%で現職のオバマ大統領が共和党ロムニー候補をリード。再選の場合は株安・債券高となるか。

あるいは、オバマ氏が勝利しても、『財政の崖』が控えており、上値を買う動きは鈍る可能性も。半面、売りを出すのも難しい。うまく買い戻しの機会がつかめない状況で、全体的に手詰まり感が強い。

オバマ大統領の再選が決まり、ギリシャ議会が再度混乱するという組み合わせになった場合、再び円独歩高の圧力がかかることになる。

また、きょう実施の流動性供給入札(発行額3000億円)は無難な結果だった。募入最大利回り較差がマイナス0.007%、募入平均利回り較差はマイナス0.008%となった。需要の強さを示す応札倍率は3.01倍と前回の3.36倍をやや下回った。



[まとめ]

米大統領選の結果まで様子見状態。
ギリシャ支援の不透明性からリスク回避→円高へ。
・為替+ギリシャ不安+業績悪化→株安へ。
・円逃避+株安→債券が買われる=債券価格上昇=債券利回り低下。


本日のひとこと


知財ファンド「LSIP」というのがあるらしい。
知財や自然資本みたいな拡張会計は、社会的にもビジネス的にも面白そう。


・雨は好き。濡れると不便な世の中が嫌いです。
・最近の神社はクリスマスイベントをやっているらしい。