米経済回復と中国経済不透明感に挟まれてる件(06/23)

ここ1ヶ月ほどマーケットはカオスな状態になっていましたが、判断材料と市場の動き・長期トレンドが明確になってきたので更新。各指標は6月21日(金)夕方のものです。


<指標の推移>

【株式】日経平均株価:1万3230円13銭

【為替】1ドル=97円後半

【債券】長期金利:0.875%


<変動要因>

・米景気回復⇒(潜在的には)株高の材料:特に輸出関連株、資源関連株など
・米国の金融緩和縮小⇒(潜在的には)円安の材料
          ⇒(短期的には)米株下落による株安材料:輸出関連etc...
          ⇒(短期的には)米長期金利上昇による日本国債安=金利上昇

・中国PMI低迷+金利急上昇⇒先行き不透明感=株安の材料:輸出関連etc...
・日銀が長期国債の買い入れ見送り⇒(短期的には)円高、株安、債券安の材料


このブログですが、本来の趣旨から大幅に逸れるけどIPOネタで埋め尽くすのも悪くないんじゃないかと本気で思い始めているのですが。フルタイムで働き始めると市場を毎日チェックして記録するのはキツいものがある…。

日経平均が10%も落ちたわけだが(05/30)

アベノミクスは失敗!と言うのはちょっと早漏さんじゃないですかね。
マーケットを概観してみましょう。


【株式】大幅下落

日経平均株価は1万3589円3銭と、22日終値に比べて10%以上の下落です。
本日は、円高による輸出関連株の売り+不動産・倉庫・金融など資産関連も安い。

全体としては、急上昇後の調整局面、プログラムによる自動売却が主因と見られます。
大部分は海外投資家とのデータも示されているようです。
日本経済のファンダメンタルズが回復基調であることは変化なし。

なお、このタイミングで日銀がETFの買い入れを行ったと発表。


【為替】円高

1ドル=100円台後半に上昇。101円を挟んで上下、株安に応じて円が買われた。
米国の長期金利や株価が低下したことでドル安方面に動いている。
米指標の堅実さから、QE3縮小の発表(=ドル高シフト)の機を待つ状況と言える。

なお、EU圏はリセッションを抜け出すために緊縮財政を緩める方針とのこと。
今後はユーロ安/ドル高のトレンドになるか。


【債券】反発

長期金利は前日比4.5bp低い0.89%。
株安・円高によって買い戻された資金の逃避先となった。
また、日銀の買いオペ頻度増加で利回り安定の期待も後押しした。


【エネルギー】

アベノミクス批判の1つに、円安による輸入エネルギー価格の高騰が挙げられる。
しかし実際には原油価格は下落しているようだ。

主因は以下の3つ。
米株安、OECD:世界の経済成長見通し引き下げ、OPEC:生産据え置き見通し。
エネルギー=生産活動に投入するもの、なので、生産活動が停滞すれば需要減。

特に原油市場は値動きが顕著なので、上記情報に反応している。
結果、円安による輸入価格の上昇度合い < 市場が導引する原油価格の下落度合い。


【IPO(新規上場)】

唯一のプラスな報道としては、サントリー・ホールディングスの上場があります。
今年最大規模の上場案件として注目されており、本日、詳細が確定しました。
株式市場全体は落ち方が急なので、こちらの視点に注目すると良いかもしれません。


というわけで、抽選に当たるために口座を大量に開きます。

大波乱のマーケットを概観する(05/24)

バーナンキ議長の会見後、この2日で市場が大荒れしております。
為替、株価、債券についてそれぞれ概観しておきます。


まずはドル/円の相場。21時現在は101.4円。

22日:QE3縮小期待から103円74銭まで円安が進んだ。
23日:(長期金利1%上昇→今後の上昇懸念)+(中国指標の悪化)で株が急落→円安。
24日:株の下落と連動する形で主要16通貨に対して円が上昇。

※欧米の連休前ということもありポジション調整か。


次に日経平均株価。本日終値は14612円45銭。

23日に一度大きく下げた。
金利上昇懸念・円上昇懸念に、中国指標悪化のトリガーが乗りかかった形。
ダウ株が下がったことも合わせて売りを呼んだ。
連日の高騰の後、利益確定売りのための絶好の機会だったことが主因か。

24日では、乱降下後、反発。
・欧米株が底堅いドル円は101円台を維持 → 輸出関連株に買い。
・国内金利が落ち着きを取り戻す → 不動産株などに買い。


最後に10年物日本国債。前日から横ばいの0.835%。
日銀の追加緩和と株価下落を受けて23日にやや価格上昇(金利下落)。
その後、株価上昇に合わせて価格下落(金利上昇)。
金融緩和以外の要因で債券購入を促すのは難しいところか。


以上です。

全然関係ないけど、某大手銀行の新入社員がカフェで顧客の悪口を話していたのがちょっと残念だと思いました。男の人が悪質な営業テクニックで成績を上げたことを女性社員に自慢したり、色々ひどかった。録画してネットに上げたら炎上してたと思われ。

お金を扱う業務って信用がすべてだと思うのだけどなぁ。

またもやドル上昇:102.5→103.4に(5/22)

ドルの動きが急過ぎて胃が痛い。
とりあえず速報。

・日銀会合→緩和の継続(特にサプライズはなし)
→安心感から輸出関連株に買い=日経平均は今年最高値1万5627円26銭で引けた。
金利についての言及が弱い→国債売り=長期金利上昇(前日比0.5bp高の0.885%)。

バーナンキ議長の会見「QE3継続」
→市場は緩和による経済効果を期待→米株買い=ダウ工業株が上昇。
→ドル買い=ドル高/円安。102.5円から103.4円くらいまで上昇。

QE3終了ならドル爆上げだったと思うのだけど、ヘリコプター・ベンが何を話してもドルは上がる運命にあったのでしょうか。結果論か。

しばらく為替は投資家間の読み合いで動く感じになるんでしょうかね。
今後のトレンドは後日また。

甘利発言を受けて円が落ちるのは恒例行事(05/20)

不動産株は下がると言ったばかりだが、すまん、ありゃ嘘だ。

株価上昇
国債価格の下落=利回り上昇
→不動産・金融は下がる

という理屈は間違っていない。

しかし、利回り上昇を受けて黒田日銀総裁がさらなる緩和を宣言した。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK067730320130515

それを受けて国債価格上昇=利回り低下 → 不動産・金融は上昇。
市場が「ほら不動産株が下がった」と鼻で笑った直後の宣言だったので流石に驚き。
これは惚れる。



<株式>

日経平均株価=1万5360円81銭(前週末比222円69銭高)
株高の背景には

①日米の経済指標が堅調(日本のGDPが3%など)
②円安基調(週末に1ドル=103円を突破)
③安倍政権の成長戦略に期待(財政・金融では有言実行で効果あり)



<為替>

甘利経済再生担当相の発言を受けて円買い=103円から102円台へ。
22日のバーナンキFRB議長の発言によってドルの上下が決まるので現在は様子見。
また、21-22日の日銀会合について黒田総裁の発言によって円の上下が決まる。

具体的には、

バーナンキ議長
→金融緩和の出口をにおわせる =ドル買い
→言及なし or 継続への強い意思 =ドル売り

FOMCの議事録(この会議ではQE継続が決まっている)
→米経済の改善を示唆 =ドル買い
→懸念事項を強調 =ドル売り   

黒田総裁
→債券利子をある程度押さえ込む追加緩和の意思 =円売り
→債券利子など金融緩和の副作用について言及なし =円買い

普通に考えたら
・米金融緩和は出口戦略を示し始めてもいいんじゃ… →ドル買い
・過度の円高は是正されたし金融緩和は弱めてもいいんじゃ… →円買い
になりそうなのだけど、

この2人がそうした発言をするかと言われると、あまりイメージできない。
QE出口は言及せず(でも米指標は確かに回復)+日銀は追加緩和→ドル買いか。
一方で利益確定のドル売りをする絶好の機会でもある。かなり読みにくい状況。



<債券>

長期金利は前週末比4.5bp高い0.84%。
黒田総裁の発言「景気回復・物価上昇の見通しによって金利は上がる」で売られた。
ただ、依然1%以下なので副作用を懸念するという段階ではない。

インフレで金利が上がれば金融・不動産株は落ちる(05/14)

Episode1:インフレ・メナス

日銀「インフレ率を2%に…上げるのじゃ!!」

国民「期待するッ!!予想するッ!!これはきっと2%上がる!!」

経済学者「あれを見るがいい…」

フィッシャー方程式「名目金利=実質金利+インフレ期待+リスクプレミアムだよ!」

経済学者「お前たち国民は…『インフレ期待』を2%にしたなぁああああ!!」

フィッシャー方程式「名目金利が上がるよ!!」

Episode2:ボンドの攻撃

マーケット「これをぜひご覧下さい…」

投資家「ほぉ、これは…長期金利が上がっている…!!」

マーケット「ええ、本日の10年債利回りは0.85%になりました」

投資家「まだ2%にはほど遠いが…」

マーケット「インフレ期待が高まれば理論上はさらに上がるでしょう」

Episode3:金融緩和恩恵株の逆襲

メディア「不動産株を買うのじゃ…、心を解き放ち、金融株を買うのじゃ…」

投資家「嘘だ!!」

メディア「いまのうちに株を買わないと損するぞ?臆病は悪だ…」

投資家「あんたこそが悪だ!!あんたが憎い!!」

メディア「異次元緩和の後は一気に上がったじゃないか」

投資家「それは、銀行や不動産が『資産を元手にして他人に貸す』仕事だからだ…」

ナレーター「資産を『借りる』ということはいずれ『返す』ということ。『返済』には『利子』が付く…。『利子』とはすなわち『名目金利』。銀行があなたに手渡す『利子』は『名目金利』に連動する。銀行の経営としては、『名目金利』が低い方が良いに決まっている。だから、伸びた。異次元緩和によって一時的に『名目金利』が下がったときには金融恩恵株の株価が上がった。しかし、状況は変わりつつあったのだ…!!」

投資家『ふしゅー、ふしゅー』

Episode4:新たなる希望

投資家の息子「金利要因による株価下落は抑えられないだろうな…」

経済学者「ッ!? 君は……」

てーん、てーん、てれれれーんれーん、てれれれー

字幕「例えば銀行であれば資産運用益、貸出に対する返済、取引手数料といった収益源がある。資産運用益は糞みたいなものだし取引手数料も今後大きく変動することはないだろうから貸出金にのみ注目するとM&Aだとか中小企業の自社売却だとかで銀行から資金調達するニーズは増えているらしいのでこういった個別の事情で株価が上がることは十分あり得るわけだから別に金利が上がるからといった株価全体が上がるとは断言していないよ、ふふッ、おっけー☆」

すいません。
自分で書いてて意味分からなくなった。
特に登場人物とセリフが意味分からん。

本日のマーケットは、以下の通り。

<為替> 前日の1ドル=102円15銭から101円半ばまで円高へ。

⇒米国の小売売上高が好調:つまり商品がよく売れているので景気がイイネ!
⇒さらにドル高(円安):米景気が良い=金融緩和(ドル安要因)が終わるかも?
⇒ちょっとややドルが買われすぎている?+利益確定のために売りたい?
⇒ドル売り(=対円、対ユーロでドル高)

※基本的に米経済・ドルが相場を動かしている状態。
※しばらくは101-102円の踊り場か。
※材料が出るたびに「円売り」「ドル買い」方向に動いて行くか。
※ユーロは政治材料に応じて不安定に上下する?

<債券> 長期金利は前日比5.5bp高い0.85%へ。

⇒円安・株高のトレンドに押されて債券は売りが続く。
⇒結果として価格下落=利回り上昇。

先物では1円下落する場面もあった。
※ちなみに米債券市場は好調。ドル買いの影響?

<株価> 小幅反落で日経平均株価は前日比23円79銭安の1万4758円42銭。

Aさん「円の下落が一服したので利益確定売りしましたよ、ええ」
Bさん「中国の株価指数が1%以上も落ちました。新興国の需要に支えられている国内株を売りましたよ、ええ」
Cさん「債券市場が混乱しているそうじゃないですか、マーケットが不安定なので今のうちに利益確定売りしましたよ、ええ」

※円安・海外指標の影響が大きい輸出関連株は売り。
金利の影響を受ける金融、不動産なども売り。


やっぱドル買いかなー。

ついに1ドル=100円を突破!!(05/10)

輸入企業「100円を超えたら…オプションが駄目になっちまう…お前に俺の気持ちが分かるかよ!!」

海外投資家「分かるってばよぉ…」

輸入企業「なんなんだよ…なんで俺に構うんだッ!!」

海外投資家「へへ…俺たち、友達だろ?」

輸入企業「……ふっ、そうだな」

海外投資家「かかったな!!!おらぁぁぁぁあああ!!!円売りじゃあああああ!!!」



【為替】円続落。
約4年ぶりに1ドル=101円台に突入。
ユーロは131円後半まで円安。

【株価】大幅反発。
日経平均株価は14,607円54銭(前日比416.6円高)。
⇒円安による輸出関連企業の収益増加期待に起因。

【債券】大幅下落。
先物6月物は前日比1.02円安の143円70銭。
長期10年債の金利は前日比10.5bp高い0.695%で推移。
⇒円安株高をきっかけにした持ち高解消やヘッジ売りと見られる。
⇒売買を一時停止するサーキットブレーカーが発動された。

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本日のドル高・円安についての情報まとめ。

<異次元緩和>
日銀の黒田総裁による異次元緩和で「円安」方面にシフト。過度の円高が是正される。
債券、リスクマネーを日銀が購入することによって日本円が市場に流出した。

<100円の壁>
80円台を早々に脱したものの、98-99円で円下落が一時停止してしまった。
大手メディアでは「心理的な要因」が強調されているが、輸入企業の存在も大きい。
政権交代まで円高予測が継続してたので100円を突破する想定がなかった。
オプション(為替リスクを軽減する保険のようなもの)の組み方も90円台までの想定。
そのため、100円を越えると損をする輸入企業が円買いで下支えしていたのである。

アメリカ経済>
さらに、先月時点では米雇用統計が(回復基調ではあるが)期待以下の結果だった。
つまり、アメリカ経済=ドルに対する需要が大きいとは言えない状態だった。
ところが、前日の海外市場で状況が一転した。

①新規失業保険申請件数(要するに失業の度合い)が予想外に低下。
FRBによる量的緩和(QE3)が終了することへの期待。
③米30年債の順調な入札。

これらを受けてドルは主要通貨に対して全面高となった。
これまでの「円安」要因だけではなく「ドル高」要因が加わった。

<投機攻撃>

ただし、実際に100円を突破したのは投機筋によるもの。
まず、輸入企業のオプションが順次期限切れを迎える=バリアが薄くなっていた。
その上で、海外投資家が攻撃を仕掛けた。Wall Street Journalの記事が詳しい。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323605404578473782621962850.html

<今後のトレンド>

・米国の実態経済が堅調であることは確認された⇒QE3終了の期待は常に残る=ドル買いの誘因は強い。
・どれだけの時間が必要かは分からないが、105-110円までは落ちるか?
・今後の各国要人の発言によっては一時的な円買いはあり得る⇔IMF「日本の金融政策による為替への影響は過度に非難されるべきものではない」⇒トレンドには影響なし?
・ユーロ圏の実態経済には不安が残る⇒対ユーロでの円高はあり得る。
・少なくとも日本経済に円高要因は見当たらない。

今後1年間で110円まで落ちて行く、と考えるのが妥当か?
つまり今のうちにドルを買いまくっておけということ(←無責任)。