10月31日のマーケット

2012年10月31日のニュース、経済指標などをまとめました。EUの経済悪化に比べて、米国・日本は何とも決定的な動きに欠ける状態が続きそうです。


ニュース

●日本1「シャープ株の予想外反発が空売り直撃−信用売り残最高水準」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCQEQ86K510801.html

シャープ 株の一段の値下がりを見込み、信用取引で売り建てていた投資家は、同社株価が今月38年ぶり安値を付けた後に20%上昇する事態に直面している。シャープ株の空売り残高 は先週時点で過去最大の8460万株に増加していたと言う。

シャープ株上昇の背景には、同社が米アップルなど主要取引先と提携するとの観測が強まっていることがある。しかし、今期の利益は2年連続の赤字になるとの見通しを発表した8月2日以降、少なくとも7社が同社株式の投資判断を引き下げている。

市場参加者は良い結果を期待していないため空売りは積み上がる可能性がある。液晶パネルの値下がりやテレビ販売の不振、欧州の景気減速を受け、決算は厳しいものになると市場は予想しているとのこと。



●日本2「パナソニック:今期純損失7650億円へ、リストラ拡大−無配転落」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCQUEE6JTSEA01.html

パナソニック は今期(2013年3月期)の連結純損益予想を7650億円の赤字に大幅下方修正した。4−9月期は減損などに伴い営業外損失3660億円を計上し、下半期も追加リストラが負担となる。営業利益予想も2600億円から1400億円に下げた。4−9月期の純損益は6852億円の赤字。これに伴い9月末の自己資本比率は20.5%と、3月末比で8.7ポイント低下した。

16年3月期に事業部門の削減や全部門での売上高営業利益率5%以上を目指すとした、次期中期計画の内容の一部も公表。役員報酬の一部返上や管理職の冬季賞与カットも行う。携帯事業は6月に国内での生産を既に終了、欧州などの海外市場からは来年3月末までに撤退する。

2年連続での巨額損失の根本要因は本業の不振だと説明。テレビやデジタルカメラ、電子部品の需要減は特に日本で顕著で、中国での反日運動も通期で営業利益を300億円押し下げるという。デジタル製品の不振を受け太陽電池や充電池、携帯電話の構造改革に踏み込む。次期中計では事業部門の数を88から56に削減。3年の期間中に毎年2000億円以上のフリーキャッシュフロー創出を図る。



●日本3「ソフトバンク:巨額買収借り換え、大半融資に−社債は高コスト」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCN9526S973501.html

ソフトバンク は、米携帯電話3位のスプリント ・ネクステル買収で借り入れる1兆6000億円相当のブリッジローン(つなぎ融資)について、その大半を長期資金として1年以内にシンジケートローン(協調融資)で借り換える方針だ。巨額買収に伴う債務膨張に動揺し、利回りが上昇している社債市場と比べ、カネ余りを背景に低利で調達可能な銀行借り入れをフル活用する。

日本のローン・マーケットは調達サイドからすると非常に有利だと述べ、大半をメガバンクを中心とした協調融資に切り替える。今回のつなぎ融資は年1%台で調達でき、民間銀の長期貸出約定平均金利が過去最低の0.989%(8月の日銀統計)にとどまるなど、良好な調達環境が続いている

社債市場での資金調達コストは急増:巨額買収を受け、有利子負債が大きく膨らむ点に注目した格付け各社は、ソフトバンクを格下げ方向 で見直し。キャッシュフローが圧迫され、財務状況が悪化する懸念。ただ、これまでも買収を繰り返し成長してきた→巨額の債務返済を完了した実績から長期的には格付けが修正されるか。



●米国1「米株式市場が再開、上昇で始まる−ハリケーンで2日間休場」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCRIZZ6S972B01.html

ハリケーン「サンディ」の影響で休場となっていた米株式市場は31日、今週初めて取引を再開した。ニューヨーク時間午前9時50分現在、S&P500種株価指数は前週末比0.5%高。米10年債利回りはほぼ変わらずの1.72%。ガソリン価格は4.5%上昇した。



●米国2「米雇用コスト指数:第3四半期は0.4%上昇−賃金・給与を抑制」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCRC8H6TTDT101.html

米国の7−9月(第3四半期)の雇用コスト指数(ECI、季節調整後)は前期よりも伸びが鈍化。前期比0.4%上昇だった。第2四半期は0.5%上昇。

雇用コスト全体の約7割を占める賃金・給与 は年初以降で最も低い伸びにとどまった。民間部門の賃金は前期比0.4%上昇。前期も同幅の伸びだった。州・地方政府の賃金は同0.2%上昇と、ここ1年で最も低い伸び。



EU1「ユーロ圏:9月失業率11.6%、統計開始来の最悪−インフレ鈍化」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCR57F6TTDSU01.html

ユーロ圏の9月の失業率は前月から上昇し、統計開始以来の最悪を更新した。債務危機と財政引き締め強化で域内景気 の落ち込みを深刻化させている。

・9月の失業率は11.6%。8月の11.5%を上回り、1995年の統計開始以来最大。
・10月のユーロ圏消費者物価指数 (速報値)は前年同月比2.5%上昇。9月は2.6%上昇。

ソブリン債危機で少なくとも域内の5カ国がリセッション(景気後退)にあり、域内の企業はコスト削減を余儀なくされている。欧州中央銀行(ECB)は先月、今年の域内経済縮小幅の予想を拡大させ、ドラギ総裁はさらに、景気見通しへのリスクは「下向き」との認識を示した。

ユーロ圏の基調的インフレが依然として警戒を要する状態には程遠いことから、ECBが最終的に政策金利を0.75%から0.5%に引き下げる可能性がある。



EU2「ギリシャ:歳出削減を拡大、13年の成長予想を下方修正−予算案」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCRGER6TTDWQ01.html

ギリシャ政府は31日、2013年の予算案を公表した。政府は同年の成長率予想を下方修正し、救済条件を満たすための年金、賃金、社会保障給付の一段の削減を予算に盛り込んだ。

年金受給年齢を67歳へと現行の65歳からの引き上げ
・賃金や年金、給付を削減
・医療・保険と国防、教育支出を減らす

同予算案には、90億ユーロ(約9340億円)規模の措置が盛り込まれ、1日の原案の78億ユーロから歳出削減幅が拡大している。これらの削減措置により13年の財政赤字は対国内総生産(GDP)比で5.2%と、今年の6.6%から縮小する見通し。ギリシャ経済の来年の成長率はマイナス4.5%と見込まれ、今月1日の予算原案での想定(マイナス3.8%)から下方修正された。


経済指標

日経平均株価 8928円29銭 前日比+86円31銭(1%)
TOPIX 742.33ポイント 前日比+8.87(1.2%)
USD-JPY 79.52〜79.96 ※79.86で前日比+0.235(0.295%)
EUR-JPY 103.08〜103.94 ※103.59で前日比+0.412(0.399%)
10年物国債 利回り0.77% 前日比+0.5ベーシスポイント

※為替レートは11月1日03:10時点で前日同時間、Bloombergマーケット速報より。 



[日経平均株価][TOPIX] 日本株は4日ぶり反発、輸出や鉄鋼、海運買い
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCQ9SG0YHQ0X01.html

東京株式相場は4営業日ぶりに反発。米国住宅指標の堅調や為替の円高懸念の後退で、輸送用機器や電機、機械など輸出関連株が上昇。鉄鋼など素材関連、資源、海運といった景気敏感業種が総じて高い。前日売られた保険株も急反発した。

前日の日本銀行の追加金融緩和発表後に内容を未消化のまま慌てて売った投資家が買い戻した。年末に向け、円安と新興国経済の成長率回復を受け、日本株は堅調に推移するとの見方が強い。予想よりは下振れの程度が限定的で、これなら買ってもいいという投資家が出てきている。



[USD-JPY][EUR-JPY] 米住宅堅調と円安定
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCQ9SG0YHQ0X01.html

前日の日銀の追加緩和発表後に円高が進んだ為替市場では、その後一段高とならず、31日のドル・円相場は1ドル=79円50−60銭台、ユーロ・円は1ユーロ=103円10−20銭台と、前日の東京株式市場終了時の79円30銭台、102円20銭台から円安水準で推移した。

なお、米国で30日に発表された全米20都市を対象にする8月のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数は、前年同月比で2%上昇。上昇率は2010年7月以降最大。



[国債] 債券反落、株高や10年債入札に向けた売り−日銀緩和織り込みは一巡
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCP2JR6JIK6101.html

債券相場は反落。日本銀行による追加金融緩和を織り込む買いが前日で一巡したほか、あすの10年国債入札に向けた売りや国内株価の上昇も相場の重しとなった。

現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物の325回債利回りは前日比0.5ベーシスポイント(bp)高い0.77%で始まり、その後も同水準で推移。前日午後には0.755%と16日以来の低水準を付けたが、同日午後発表された日銀の追加緩和策は市場の予想範囲内と受け止められ、一時0.77%まで売られた。

需給面から金利の上昇余地は乏しいものの、低下をけん引するような買い手も不在で、一時的な振れはあっても、水準を変えるには至らない状態。日本も含めて世界経済の先行き懸念高まっている半面、来週の米大統領選で共和党ロムニー候補が勝利した場合には米国債市場はいったん売りで反応するリスクもある。

あすに10年債入札を控えて、前日に付けた0.755%が抵抗線になる。日銀緩和の観測が続くとは言え、利回り低下効果が乏しいことはここ2回の緩和策で示されている。国内景気の弱さと米国景気の強さの綱引きが続くが、グローバルなリスクオフ(回避)のピークであった7月の0.72%を超えて金利低下を進めるほどの環境ではない。

先物や10年債に売りが見られると指摘した上で、あすの10年入札を順調にこなして相場は落ち着くと予想。10年以下の利回り曲線で見ると割高感はそれほど強くなくなってきている上、金余りで買わざるを得ない投資家の需要は10年債に集まりやすいとの見方。



[まとめ]

・追加緩和後の一時的な円買い→売りへと戻り、円安基調。
・米国の住宅価格指数は好調。
・円安+米指標→輸出関連&景気敏感株が上がる。
・株高+10債入札を控えて債券売り→利回り増加。


感想

「マーケットがある日は休まずに経済指標をチェックする」週間付け、1週間の壁は突破しました。非常に勉強になっているのですが、夜に作業が溜まっていると眠くてキツいです。もはや意地だけでやっている感があります。