11月08日のマーケット

2012年11月08日のニュース、経済指標などをまとめました。「財政の壁」と「ギリシャ支援の不透明性」から世界的に市場が弱くなっております。


ニュース

●日本1「ソニー;娯楽コンテンツ配信会社の社長が退任−アップル出身」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD57FF6JIJUW01.html

ソニーの娯楽コンテンツ(情報の内容)配信会社ソニー・ネットワークエンタテインメント・インターナショナル(SNEI)のティム・シャーフ社長(52)が、年末に退任する。8日の発表資料によると、退任は本人が希望した。

ソニーは、アップルの「iTunes(アイチューンズ)」に対抗する定額の楽曲配信サービス「ミュージックアンリミテッド」を10年に英国などで導入、日本でも今年7月に開始した。しかし、同社は海外に続いて国内でも2月に権利を持つ洋楽をアイチューンズに開放、7日には邦楽の提供も開始。著作権に関する戦略を一部転換した。

来年以降はゲーム子会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のアンドリュー・ハウス社長が、SNEIの経営を担当する。今回の退任は、4月に就任した平井一夫社長の「カラーが出てきている」ことを反映したものではないかと指摘される。



●日本2「中国は日本国債など売り越し転換、尖閣国有化の9月1550億円」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD1YPE0UQVI901.html

財務省が8日発表した9月の国際収支状況(速報)の対内証券投資によると、中国の対日証券投資は1550億円の売り越しとなった。沖縄県尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化を受けて日中関係が悪化する中、世界最大の外貨準備を抱える中国による円資産の保有増に歯止めがかかった。

証券投資のうち、
・短期債は1352億円、中長期債が197億円の売り越し
・両部門とも純減となるのは昨年12月以来
・ただ、全体の売り越し額は7月の約4分の1にとどまった

過去最大の純減は
・2010年8月の2兆182億円
・短期債は同月の2兆285億円が最も大きかった
・中長期債は昨年6月の5085億円が最も大きかった

公的債務残高が増加の一途をたどる日本に対し、中国が保有する日本国債が武器になるとの意見も浮上。中国商務省の国際貿易経済合作研究院の金柏松副主任は9月17日付の現地紙で、中国は海外勢では最大の保有者なので、これを「最も効果的な方法」で日本に経済制裁を科すために利用できると主張していた。

日本銀行の統計によると、中国の対日債券投資残高は10年末に英国や米国を抜き、海外勢で最大となった。昨年は71.2%増えて17兆9538億円。加えて、投資急増に伴う日本国内の懸念を避けるため、中国が国際的な金融取引の中心地である英国経由でも対日投資を進めているとの見方が市場では根強い。英国の対日証券投資は昨年、過去最高の68兆3828億円となった。

日本政府は3月、外貨準備を活用した中国国債の購入について、中国政府から650億人民元の認可を取得。安住財務相は、購入枠は「適切な規模」で「少額の運用から開始する」と説明した。6月1日には民間銀行による円と人民元の直接取引が東京や上海で始まった。日中は27兆円規模に達した貿易面に加え、金融の分野でも結び付きを強めてきた。



●アジア「中国は20年までに所得倍増−胡総書記が共産党大会で目標設定」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD57WB6JIJUT01.html

中国の胡錦濤国家主席(党総書記)は8日開幕した第18回共産党大会で、国民1人当たりの所得、そして国内総生産(GDP)を2020年までに倍増する必要があると訴えた。また「金融システム改革の深化」を呼び掛け、地方レベルの一段の民主化も求めた。党大会の最後に選出する次世代の新指導部に対して新たな目標を設定した。

中国は、独占的な国有企業の分割から貸出金利規制緩和まで改革を必要とするさまざまな課題を抱えており、改革を先延ばしする余裕はない。01年の世界貿易機関WTO)加盟や1980−90年代の市場改革など、これまでの10年間はそれ以前に実施された改革の恩恵にあずかってきたが、そうした配当は今や使い尽くされてしまった。

胡主席は演説で、非国有部門も「生産要素を平等に利用」できなければならないとしたほか、中国は革新する能力を高め、都市化を進めて内需を拡大する必要があると主張。経済発展は依然として「不均衡で協調性がなく持続不可能」だとし、指導部はこれらの問題解決のため一層努力すべきだと訴えた。

世銀によると、中国の1人当たりの国民総所得は2010年に4260ドル(約34万円)と、世界121位。ヨルダンやタイの水準に近く、米国の4万7140ドルの1割にも満たない。

GDPの伸び目標については、13−20年に年7%成長することを暗に示しており、これまでに設定した目標におおよそ沿っており、達成可能に思える。一方で、1人当たりの所得倍増の目標については人口増加を考えるとより困難だと言える。



EU「英中銀:資産購入枠拡大せず、量的緩和いったん停止−金利維持」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD643B6S972801.html

イングランド銀行(英中央銀行)は8日の金融政策委員会(MPC)で、資産買い取りプログラムの規模を3750億ポンド(約47兆8600億円)で据え置くことを決めた。景気回復は引き続き鈍く、委員の一部から下支え効果が疑問視された量的緩和(QE)をいったん停止する。政策金利であるレポ金利 は、過去最低の0.5%に据え置いた。

今回の決定により、英中銀は「融資のための資金調達スキーム」(FLS)など与信拡大を目指す計画に注力することを示唆した。インフレ圧力の高まりが政策維持を促した可能性もある。英経済は7−9月(第3四半期)に国内総生産(GDP)が前期比1%増加。ただ、各種調査 では依然として脆弱性が示されている。

英経済の見通しは引き続き不透明であり、10−12月(第4四半期)は弱いと予想される。そうなれば、QEが再び議題に上がるだろう。市場は来年に追加QEがあると見ている。

英中銀ではタッカー副総裁やビーン副総裁がここ最近、資産買い取りには2009年の導入時同様の効果はもはやないかもしれないとの見方を示していた。またウィール委員は、インフレ率が中銀目標の2%を上回る状況下でのQEの正当性に疑問を投げ掛けた。9月のインフレ率 は2.2%。キング総裁は先月、最近のエネルギーコスト上昇でインフレ率は来年に入っても目標を上回る水準にとどまるとのこと。



●米国「オバマ米大統領再選、天然ガス会社には吉か−献金共和党に」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD5H446TTDSM01.html

エクソンモービルなど天然ガス大手は今年、共和党に数百万ドルの政治献金を行ってきたが、民主党オバマ大統領の再選は結局、吉と出る可能性がある。イデオロギーを裏切る代わりに需要側を重視した現政権の政策は歓迎できる。

オバマ大統領は石炭の生産や使用を抑制する一連の環境規制を今後も推進し続ける公算が大きい。そうなると自動車や発電用の燃料として天然ガスの需要が増えるためだ。国内の原油・ガス生産は過去約20年間で最高の水準に達した。

オバマ大統領が再選され、下院は共和党の支配が続くことについて、天然ガスを燃料とする自動車への補助金などガス使用促進策が続く可能性が高いとみている。一方、政府が水圧破砕を抑制するため規制に動いたり、国有地での生産抑制を進めたりする動きには共和党が待ったをかけそうだ。


経済指標

日経平均株価 8837円15銭 前日比135円74銭(1.5%)安
TOPIX 735.35 前日比10.36ポイント(1.4%)安
USDJPY 79.32〜80.02 ※79.38で前日比−0.620(0.775%)
EURJPY 101.03〜102.19 ※101.17で前日比−0.997(0.976%)
10年物債券 利回り0.745% 前日比−2bp

※為替レートは11月09日05:11時点で前日同時間、Bloombergマーケット速報より。



[国内株価] 日本株は下落、米欧景気の不透明感で輸出や素材中心売り−32業種安い
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD532L0YHQ0X01.html

東京株式相場は下落。米国で財政の崖に対する警戒が高まったことやユーロ圏での経済成長率見通しの下方修正を受け、景気の先行き不透明感から幅広く売られた。電機や輸送用機器など輸出関連や鉄鋼などの素材、市況関連を中心に下げた。業種別では電気・ガスを除く32業種が安い。

米国企業は足元で業績モメンタムが落ちているだけに、財政の崖への議会対応が年末まで米株価を変動させる要因となりそう。今後の米国株相場は「ボラティリティ(変動性)が高くなり、万一のときの下げは大きくなる可能性がある。株式市場は不確実性を嫌うため、米国株は利益確定売りが優先された。万一解決できなければ、米国経済がリセッション(景気後退)となる結果、世界経済もリセッションに陥るだろう。

大統領選挙結果を受けた7日の米国株市場は、S&P500種株価指数が6月以来で最大の下落率を記録した。オバマ大統領が再選を果たしたものの、下院は共和党過半数議席を押さえ、上院は民主党過半数を維持する「ねじれ」状態が解消されなかったことが財政討議に影響を与えると懸念された。この日の日本株は朝方から売り一色で、午後にはアジア株安や円高を背景に一段安となった。

また、欧州委員会は7日、ユーロ圏の2013年成長率を従来の1%から0.1%へ下方修正した。日本国内では8日午前に発表された9月の機械受注統計で、「船舶・電力を除く 民需」は前月比4.3%減。内外景気の先行きに不透明感が広がるなか、業種を問わず売りが増加した。

東証業種別33指数の下落率上位は、パルプ・紙、鉄鋼、鉱業、保険、不動産、輸送用機器、海運、電機など。このうち鉱業や海運については、景気先行きに対する悲観が強まったことで、きのうのニューヨーク原油先物相場が前日比4.8%安と、ことし最大の下落率を記録。ばら積み船の運賃指標となるバルチック・ドライ指数も2.5%安となったことが嫌気された。

主要株価指数の下げは大きくなったものの、きのう2%超の下落となった米国株に比べれば下落率は相対的に小さかった。ドル・円相場が1ドル=80円近辺と極端な円高になっていないことに加え、決算発表がほぼ一巡して個別銘柄の業績の良し悪しも区別が付いたため、好業績銘柄中心に外部環境による下げ局面は買いを推奨している。



[外国為替] 円が上昇、米欧の財政不透明感でリスク回避−対ドル79円後半
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD55LB6JIJZB01.html

東京外国為替市場では円が上昇し、対ドルでは1ドル=79円台後半で推移した。米国では大幅な増税と歳出削減が重なる「財政の崖」をめぐる不安が払しょくできず、欧州でもギリシャの債務問題がくすぶる中、リスク回避に伴う円買い圧力がかかった。

ドル・円相場は早朝に付けた80円02銭から一時は79円78銭まで円が水準を切り上げた。午後3時35分現在は79円90銭付近で取引されている。前日の海外市場では一時79円76銭と、1日以来の水準まで円高が進んだ。ユーロ・円相場も早朝に付けた1ユーロ=102円19銭から101円75銭と10月15日以来の水準まで円高に振れ、同時刻現在は102円02銭付近で推移している。

ギリシャ議会では財政緊縮法案が可決されたが、12日の欧州連合(EU)財務相会合で具体的な融資に前進できるか不透明感が漂っている。仮に融資問題をクリアしたとしても、欧州の実体経済はかなり厳しくなっている。

この日の欧州中央銀行(ECB)政策決定会合で、景気の先行き不透明感に対して、強い危機感を再び示すようだと、ユーロネガティブで反応しやすい。クロス・円(ドル以外の通貨の対円相場)で円高圧力が高まりやすいとみている。

EUの行政執行機関である欧州委員会は7日公表した秋季経済見通しで、ギリシャの公的債務が従来予想よりも大幅に拡大する可能性を示しているほか、スペインについても景気悪化の中で2014年に財政赤字目標を達成できない公算があるとの予想を明らかにしている。

また、欧州委はユーロ圏の13年成長率を0.1%と、5月に予想した1%から下方修正。域内最大の経済規模を持つドイツについては0.8%と従来の1.7%予想から引き下げている。

一方、米国では大統領選挙を通過したことで、次の焦点は財政の崖に移る。きのうの海外市場ではドイツや欧州経済への懸念も加わり、円やドルが買われるリスクオフ(回避)になった。ギリシャの支援問題の不透明感、財政の崖問題を合わせて、目先はリスクオン(選好)にはなりきれない展開が続く。



[債券] 債券先物は3カ月ぶり高値、円高・株安や40年入札通過−超長期も堅調
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD3U9Z6TTDS001.html

債券先物相場は3カ月ぶり高値圏に達した。円安一服や日米の株安、40年債入札の順調な結果を受け、先物や超長期債を中心に買いが優勢だった。

海外金利低下に特例公債法案のめど、国内指標の悪化と、超長期債の買いをためらっていた人も動きやすい環境で、割安感からここぞとばかりに買いが入った。米「財政の崖」への不安もあるが、欧州懸念の方に注目が集まってくる。目先は金利上昇要因が見当たらない状態。

現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物の325回債利回りは同1ベーシスポイント(bp)低い0.755%で始まり、0.75%との間でもみ合った。午後1時過ぎには2bp低い0.745%と8月7日以来の水準に低下。0.75%に下げ幅を縮める場面もあったが、2時20分ごろからは再び0.745%で推移している。

超長期債が堅調。40年債入札の通過に加え、公債発行特例法案がきょう午後の衆院本会議で審議入りし、今月末に政府の財源が枯渇する事態が回避される見通しが強まっていることが背景。

・20年物の140回債利回りは3bp低い1.66%と先月16日以来の低水準。
・30年物の37回債利回りも2.5bp低い1.92%と先月22日以来の水準に低下。
・40年物の5回債利回りは入札後に3.5bp低い2.135%と、10月26日以来の低水準。

財務省がこの日実施した40年利付国債(11月発行、5回債)の利回り競争入札の結果によると、最高落札利回りは2.115%となり、事前予想の2.125%を下回った。投資家需要の強さを示す応札倍率は3.82倍と、前回の3.48倍から上昇した。



[まとめ]

米大統領選を通過して「財政の壁」に注目→米国市場が悪化
ギリシャ支援の不透明性+EU経済の悪化→EU市場も悪化

・世界的に景気の見通しが悪化→株価マイナス
・リスク回避→ユーロ/ドルから円にシフト→円高
・株/外貨から債券(円)に逃避→債券価格上昇→債券利回りマイナス


今日のひとこと

<キングクリムゾン>

・10分だけ休むつもりが気付いたら3時間経っていた。
・何を言ってるか分からねえと思うが(ry
タイムリープしてる間に円高が急激に進んでいた。
・27時にニュースがあったor普段からこの時間に上がるのか。<久々に日経新聞を読んで何点か思ったこと>

①命を刈り取る形をしている=あの大きさは読むのにもコピーするのにも場所や時間を選ぶ=コスト=人生の一部を切り取ってるよぉおおおおお。

②文字の割に重要なポイントは多くない。毎日bloombergでニュース見るようになったら新聞の処理速度が上がったと実感。広告と用語解説と議論解説が多い気がする。

③経済教室が面白い。あれだけ単独でネット配信してほしい。

④ネットと掲載記事の連動が面倒臭い。内容は面白いけどいちいちメディアを変えるのが面倒くさすぎる。

⑤「ニュース」「用語解説」「議論解説」×「各トピック」でマトリクス分けが見やすいデザインにしたら最強だと思いましたん。経済に疎い人も勉強のために解説目的で買いやすい気がする。これが確立されたら多少の値上げでも余裕で買います。

⑥金融以外+国内ニュースに関してはやっぱり新聞が強いと実感。bloombergからの引用ばかりだと偏り方がすごいことになる。やはり電子版に加入すべきか…。

まぁ、そうでなくても買わざるを得ないのが恐ろしいわけですが。