11月12日のマーケット

2012年11月12日のニュース、経済指標などをまとめました。短期的には世界経済の悪化を示す指標が目立つのですが、長期的には回復が見えてきました。

ニュース

●日本1「公的資金:証券・保険会社も対象にー金融庁が原案」
http://mainichi.jp/select/news/20121113k0000m020059000c.html

金融庁は12日の金融審議会(首相の諮問機関)で、公的資金投入の対象を銀行だけではなく、証券、保険会社にも広げる新たな金融危機対応制度の原案を示した。同庁は来年の通常国会に関連法の改正案を提出する方針だ。

預金保険機構が経営危機に陥った大手証券や保険会社の資金繰りを一時的に支援することで、破綻処理を円滑に行うのが狙い。

従来、銀行など預金を取り扱う金融機関に限ってきた公的資金の投入対象を拡大するのは、大手証券や保険の突発的な破綻がデリバティブ金融派生商品)取引などを通じ、他の金融機関の連鎖破綻を引き起こしたり、資産の投げ売りなどで金融市場を混乱させたりするリスクがあるため。

原案によると、証券・保険への公的資金投入は、首相を議長とする政府の金融危機対応会議が「市場の混乱回避に不可欠」な場合に判断する。

証券や生保会社が債務超過でない場合は、預保機構が日銀の特別融資(日銀特融)と同様に無担保の資金供給を行うほか、必要なら公的資金による資本増強も実施する。経営危機に陥った証券・保険会社に金融取引に伴う支払い停止を起こさせないことで、他の金融機関の連鎖破綻を防ぐ。

証券・保険が債務超過の場合は預保機構が経営権を事実上取得。デリバティブなどの取引を承継金融機関などに移し、公的資金で援助しながら取引の清算を進める。

預保機構は、政府保証などで必要な資金を調達。投入した公的資金が国民負担になるのを避けるため、証券・保険の資産などを売却しても損失が生じる場合は金融業界全体が事後負担で損失分を賄う仕組みとする。

ただ、預金者や決済システム保護という大義名分が立つ銀行と異なり、証券・保険への公的資金投入には慎重論もある。そこで金融庁公的資金を投入して行った証券・保険の破綻処理で損失が生じた場合、金融業界全体で事後的に負担させる仕組みを講じ、国民負担を避ける方針。

しかし、12日の金融審では銀行界から他業界の破綻処理で過大なコスト負担を求められることに異論が出るなど新たな危機対応制度をめぐる調整は難航しそうだ。



●日本2「7−9月GDPは年率3.5%減、3期ぶりマイナス−景気後退懸念」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDCPJ26TTDS301.html

7−9月期の実質国内総生産(GDP)速報値 は、前期比年率で3.5%減と、昨年10−12月以来、3四半期ぶりのマイナス成長となった。減少率はほぼ事前の市場予想通りだった。海外経済の減速を背景に輸出が減少し、内需個人消費や設備投資に陰りがみられ、先行きもマイナス成長を予想する声が出ている。

内閣府が12日発表した同期のGDP速報値は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.9%減となった。GDPの約6割を占める個人消費は0.5%減。設備投資は同3.2%減った。公共投資は同4.0%増加。輸出は同5.0%減、輸入は同0.3%減だった。

GDPをどれだけ増加させたかを示す寄与度
国内需要内需)マイナス0.2ポイント
・輸出から輸入を差し引いた純輸出(外需)はマイナス0.7ポイント

生活実感により近いとされる名目GDPは、前期比0.9%減(年率換算3.6%減)。
総合的な物価指標であるGDPデフレーターは前年同期比0.7%低下だった。

最大の押し下げ要因になったのは外需で、海外経済の減速や円高、米国向け自動車輸出増の一服などが影響した。景気見通しの下振れや12月の米金融緩和観測を背景に、今後、日銀に対して追加的な金融緩和を求める声が一段と大きくなる可能性が高い。

なお、8日発表した9月の機械受注 は、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」が前月比4.3%減少。7−9月期以降の輸出減少が在庫調整(在庫投資の減少)と設備投資のさらなる先送りにつながると、10−12月期もマイナス成長が続く可能性が高い。

内閣府が6日発表した9月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が6カ月連続で悪化。内閣府は「下方への局面変化を示している」として、日本経済が景気後退局面に入った可能性を示唆した。

日銀も先月30日の金融政策決定会合で、景気は「弱含みとなっている」として情勢判断を下方修正。2カ月連続で金融緩和に踏み切った。しかし金融緩和に打ち止め感は出ておらず、12月11、12日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和が行われることを前提に、日銀は同月19、20日の決定会合で追加緩和に踏み切ると見られる。



●日本3「オリンパス:今期の営業益予想を24%減額、デジカメ不振で」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDD3T76TTDTX01.html

損失隠し問題からの再建を目指しているオリンパスは今期(2013年3月期)営業利益予想を従来比24%減らし、380億円とした。前期比では7.0%増となる。売上高予想も18%カットの7570億円。

純利益は従来比で10億円積み増して80億円としたが、市場予測82億円には届いていない。カメラなど映像事業は、80億円の営業赤字の見通し。コンパクトデジタルカメラの不振が響いた。

7−9月期に情報通信事業売却に伴う特別利益157億円を計上、9月末の自己資本比率は3.7%と、6月末の2.2%から回復した。決算会見で竹内康雄専務執行役員は、10月から来年2月にかけて実施のソニーからの出資を単純に加算すれば、同比率は9%に上昇すると語った。



●日本4「ありがとうS新規上場、初値11%高後に一段高−四国で「ブックオフ」」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDCL6M0UQVI901.html

中古品販売や飲食店を手掛けるありがとうサービスが12日、大証ジャスダック市場に新規上場した。公募価格1170円に対し、初値は11%高の1302円。その後も株価の割安さなどを評価する買いが入り、初値に対しストップ高水準となる1602円で上場初日の取引を終えた。

ありがとうSは四国や九州で、「ハードオフ」や「ブックオフ」などのフランチャイジー展開を行うリユース事業、「モスバーガー」などの外食店舗の運営を行うフードサービス事業を手掛けている。2013年2月期の業績計画は、売上高が前期比2.8%増の72億8200万円、営業利益は3.1%減の5億500万円、1株利益は289円の見込み。

上場に際しては公募7万株、売り出し29万8000株を実施した。主幹事は野村証券。公募価格株価収益率(PER)は4倍で、類似業種であるトップカルチャー は13倍。経営面の安定性に加え、類似業種に比べてバリュエーションの安さが評価されている。



●中国1「反日行動に無言の反撃、自動車業界に中国離れの動き−近隣へ」
Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCSPJ01A74E901.html

中国での反日デモ不買運動の影響を受けた日本の自動車関連業界では、現地で新規に投資するのを控えようとする動きが出ている。景気が減速する中国にとっては海外からの直接投資の減少に拍車がかかるほか、日本の先端技術を取り込みにくくなる可能性があり、長期的には中国側も日中対立の影響を被りそうだ。

海外から中国への直接投資は減少気味だ。9月は前年同月比6.8%減の84億3000万ドル(約6800億円)、1−9月は前年同期比3.8%減の834億ドル。過去11カ月のうち10カ月で前年水準を割り込んだ。中国の7−9月(第3四半期)成長率は7.4%と、この3年余りで最低だった。

自動車産業のような製造業は雇用創出力が高い。中国への影響として雇用減少とそれに伴う景気後退が挙げられる。現在の景気減速の流れが加速しかねない。これまでも中国で反日行動が激化すると、日本からの投資は減った。過去の例では欧米からの投資増が補ったが、世界経済の状況を考えると欧米からの投資急増は考えにくく、中国への直接投資は、今後半年ぐらい減少傾向を続けるのではないか。

日本貿易振興機構(JETRO)のウェブサイトによると、11年の中国への海外からの直接投資額(金融分野を除く)約1160億ドル(約9兆3000億円)のうち、日本は63億4800万ドルで、香港と台湾に次ぐ3位、全体の5.5%だった。これにシンガポールを加えた上位4カ国・地域で83%を占める。日本からの対中直接投資は99年以降、ほぼ増加傾向にあり、07年まで8年間で8.5倍に膨れ上がっていた。

かつて世界の工場として注目を集めた中国も、最近は賃金が大幅に上昇し、労働コストは安くない。ミャンマーベトナムなどコストが安くて親日的な国は他にもある。今後は中国への投資は内需の増加分にとどめ、輸出に関してはそうした周辺諸国に移したいと考える。移転したほうが収益面でもプラスになる。自動車部品メーカーの経営者ではこのような考えを持っている人は多い。

仮にそれで中国の市場を失ったとしても、ブラジルなど他の新興国経営資源を集中し、シェアをすべて奪うぐらいのつもりで取り組めばいい、というわけだ。

大和総研経済調査部の橋本政彦エコノミストは10月19日付のリポートで、日本からの対中輸出が1カ月停止した場合、国内総生産(GDP)を8200億円押し下げると試算。日本の貿易量全体に占める対中取引の比重が、中国の貿易に日本が占める割合より大きいため、直接的な影響は日本の方が大きいとした上で、製造業の投資が減れば、中国側も当然、一定の影響を受けるとした。

自動車メーカーでも反日デモ後、中国以外のアジア生産を強化する動きが目立っている。国内最大手のトヨタは東南アジア地域の生産拠点と位置付けるタイで生産能力増強の予定だ。今年の現地生産は前年比7割増の88万台の計画で、将来は100万台程度へ引き上げる。インドネシアでも部品調達を含め現地の生産能力増強を計画している。また、主力小型車「マーチ」をタイで生産し日本へ逆輸入する日産自も、戦略的輸出拠点の現地に新工場を建設するなど設備増強を進めている。

精密機械など高度な技術を必要とする工業製品はいまだに日本メーカーが圧倒的に優位に立っている。従来のような労働集約型から高付加価値の産業に移行する時期に差し掛かっている中国にとって、日本の先端技術の生産が中国から離れれば、中国では技術的に高いものつくるのが困難になる。長期的には自分たちの首を絞めるようなことになる。



●中国2「中国人民銀総裁:長引く危機への警戒姿勢崩さず−輸出回復でも」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDCDHM6TTDS001.html

中国人民銀行中央銀行)の周小川総裁は11日、自身が5年間の危機と呼ぶ出来事の中国への影響について言及し、同国の輸出の回復にもかかわらず経済について慎重な見通しを示した。他の中国当局者からも同様の発言が相次いでいる。

周総裁は共産党大会が開かれている北京で会見し、「われわれのマクロ経済コントロールは全般的に成功を収めてきた」と説明。「だがもちろん、金融危機は終わらず欧州債務危機に発展した。従ってわれわれはそれに引き続き対処している」と語った。政策当局者が最近の景気回復を重視しようとしないのは、外需リスクへの懸念が主な理由だ。

税関総局の10日の発表によると、中国の10月の輸出は伸びが加速し、貿易黒字は320億ドルと、約4年ぶりの高水準に達した。輸出の改善は景気回復の兆候として次期指導部を支える可能性はあるものの、陳徳銘商務相は貿易の見通しは「厳しい」との見方を示した。国家発展改革委員会(発改委)の張平主任は、中国の回復にはより強固な土台が必要だと指摘した。



●米国1「リューカディア,ジェフリーズの未保有株取得へ−約27.6億ドル」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDDK216K50ZG01.html

米リューカディア・ナショナルは、米投資銀行ジェフリーズの未保有株を約27億6000万ドル(約2190億円)で取得することに合意した。ジェフリーズの株主は保有株1株に対してリューカディア株0.81株を得る。両社が12日発表した。ジェフリーズの経営陣が引き続き同社を運営する。

リューカディアは既に、ジェフリーズ株28.6%程度を保有している。2013年1−3月期に予定される取引完了後、ジェフリーズのリチャード・ハンドラー最高経営責任者(CEO)がリューカディアのCEOに就く。ジェフリーズのCEOにもとどまるという。



●米国2「欧州に学ぶ米国、財政問題には直ちに行動必要-緊縮策奏功せず」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDCU9R6TTDSG01.html

米国の政策当局者の注目は財政赤字問題に協調して立ち向かう欧州に移っている。欧州危機から教訓を引き出したからだ。その教訓には金融市場が要求するまで財政行動を先送りしない、大型で緊急の予算削減が必ずしも最善の方法だとは限らない、中央銀行は財政引き締めによる経済への影響を相殺すべく準備すべきだということなどがある。

議会予算局(CBO)の初代局長を務めたアリス・リブリン氏は「欧州の教訓は、危機的状況で行動を迫られるまで先送りしてはならないということだ」と述べ、「もう1つの教訓としては、緊縮策は弱い経済には良い処方箋ではないという点だ」と付け加えた。

再選を果たしたオバマ米大統領は、二期目に取り組みたい課題の最優先事項として赤字削減を挙げている。大統領は先週、議会指導者をホワイトハウスに招いて自動的な緊縮措置の回避について議論する考えを明らかにした。歳出削減と歳入を組み合わせる必要があると強調。

米国が年末の「財政の崖」を回避し、赤字を減少させる方向で議会が合意に達すれば、株式市場に恩恵がある。しかし、自ら招く無秩序な引き締めになり、米国をリセッション(景気後退)に陥れる懸念もある。

先週の米株式相場は、議会が来年約6070億ドル(約48兆円)の強制的な歳出削減と増税を容認するとの懸念から下落。S&P500種株価指数 は9日、前週末比2.4%安の1379.85で終了した。



●米国3「世界の有力投資家は「財政の崖」回避を予想−懸念は行き過ぎ」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDCNN16K50Y001.html

世界の有力投資家らは、オバマ米大統領の再選を受けて世界の株式時価総額が1兆ドル(約79兆円)失われた事態について、「財政の崖」回避につながり得る協議を米指導者らが開始する中で、世界経済が改善しつつある事実を見落としていると指摘した。

運用資産が合わせて8兆ドル超の投資会社の運用担当者らは、来年から6070億ドル相当の減税失効と歳出削減が重なる財政の崖をオバマ大統領と議会が回避できず、米景気が減速するとした投資家の懸念は行き過ぎだとみている。先週は、米国株が週間ベースで6月以来最大の下げとなり、米国債利回りは2カ月ぶりの低水準に下がった。

雇用や住宅、消費者信頼感、国際貿易などさまざまな統計で、米経済が力強さを増していることが示されている。中国も輸出が9月、10月ともに約10%の伸びとなり、その前の2カ月の3%未満の伸びから改善した。世界中の企業が資本市場での資金調達を進めており、借り入れペースは過去2番目、調達コストは過去最低だ。



EU1「ギリシャ財政赤字:1−10月は42%減の123億ユーロに縮小」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDDLE76TTDTB01.html

ギリシャ財政赤字は1−10月に目標を下回る水準まで縮小した。前年同期比で歳出が13.2%減り、歳入が増えたことが寄与した。ネットベースの歳入は1.4%増の417億ユーロと、目標の415億ユーロを上回った。歳出は540億ユーロと、前年同期の622億ユーロから減った。目標は551億ユーロ。

財務省が12日公表した速報値によると、国営企業の支出を除いたベースの財政赤字は123億ユーロ(約1兆2430億円)と、前年同期の211億ユーロから42%減少した。政府目標は136億ユーロだった。プライマリーバランス基礎的財政収支)の赤字幅は12億ユーロ。目標は24億ユーロ。



EU2「スペインの闇、住宅立ち退き迫られ2人が自殺-政府急きょ対策」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDCWO66KLVR701.html

スペインのラホイ首相は、住宅からの立ち退きを回避する措置を急きょ講じる方針を表明した。当局が差し押さえようとした住宅の持ち主だった女性が今月自殺し、対応に動かざるを得なくなった。

超党派の委員会が12日に会合を開き、自宅から立ち退きを迫られる人を減らす計画を策定する。ラホイ首相はこれによって住宅差し押さえをめぐる国民の怒りを抑えたい考えだ。首相によると、委員会は立ち退きの一時中止を発表し、銀行にローンの再交渉を行うよう促すほか、人々が自宅にとどまることができる方策を探る。

ラホイ首相は9日のカタルーニャ州レリダで行われた選挙集会で支持者に対し、政府は「差し押さえの影響を最も受けやすい家族を守り、大きな思いやりと配慮をもって真剣に行動する」と言明。スペイン国民は「悲惨な出来事と非人間的な状況」を経験していると述べた。

アマイア・エガナさんは、当局が鍵を交換するために到着した今月9日、バラカルドのアパートから投身自殺した。スペインでの立ち退きをめぐる自殺者は過去1カ月で2人目だ。同国では過去5年にわたって景気下降が続き、この間の住宅の差し押さえは約40万件に上る。9月は失業率が過去最高の26%に達しており、政府が対策に動かなければ差し押さえがさらに増加する事態が予想される。


経済指標

日経平均株価 8676円44銭 前週末比81円16銭(0.9%)安
TOPIX 722.58 前週末比8.16ポイント(1.1%)安
ドル・円 79.36〜79.58 ※79.38で前日比−0.108(0.135%)
ユーロ・円 100.88〜101.29 ※100.98で−0.073(0.072%)
10年物債券 利回り0.73% 前週末終値±0.000

※為替レートは11月12日23:48時点で前日同時間、Bloombergマーケット速報より。



●国内株価「日経平均4カ月ぶり6日続落、円高や米財政懸念−GDP低調も重し」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDCHQZ07SXKX01.html

東京株式相場は、日経平均株価が4カ月ぶりに6日続落。欧州情勢の不透明感を受けた円高進行、米国の「財政の崖」問題への警戒が強い上、7−9月期の国内総生産(GDP)が3四半期ぶりにマイナス成長となったことも嫌気された。自動車やゴム製品、電機、精密機器など輸出関連株中心に安い。

欧州ではギリシャ情勢への不安、フランスの鉱工業生産指数の落ち込みなどで域内景気見通しの悪化懸念が広がり、ユーロ安・円高。また、米国では、歳出削減と大型減税の失効が重なる「財政の崖」に対し、警戒感がくすぶっている。

このほか、中国人民銀行中央銀行)が12日に発表した10月の人民元建て新規融資は前年同月比14%減った。7四半期連続で減速する同国経済には回復の兆候も見られていたが、期待に水を差す内容。

相場は調整色が続き、買いが入りにくい中で日経平均、TOPIXともきょうの安値引け。東証1部33業種はゴム、保険、不動産、非鉄金属、その他製品、精密機器、建設、証券・商品先物取引、輸送用機器、小売、電機など31業種が下げた。

売買代金上位ではトヨタ自動車やNTT、東芝パナソニックキヤノン日産自動車、グリー、日立製作所、ホンダ、三菱UFJフィナンシャル・グループが下落。個別では、業績下方修正を嫌気する売りが続いたネクソン、上期業績が計画比下振れのNOKが大幅安。午後1時に今期の利益予想を減額した清水建設も売られた。

これに対し空運、海運の2業種は小高い。材料銘柄では、自社株買いと今期利益予想を上方修正した横浜銀行、4−9月期の営業利益が従来計画を上回ったスズキはともに買われた。



外国為替「円小幅安、ギリシャ情勢の不透明感やや緩和-リスク回避弱まる」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDCK6S6K50ZJ01.html

東京外国為替市場では、円が前週末の高値から水準を切り下げる展開となった。ギリシャで2013年予算案が可決されたことで、同国の債務問題をめぐる不透明感がやや緩和し、リスク回避に伴う円買い圧力が弱まった。

ドル・円相場は9日の海外市場で一時1ドル=79円08銭と、10月18日以来の水準まで円高が進行。週明けの東京市場では朝方に付けた79円40銭から、79円58銭まで円安に振れる場面も見られた。午後3時55分現在は79円50銭付近で推移している。

前週末に一時1ユーロ=100円43銭と、10月11日以来の円高値を付けていたユーロ・円相場は101円台前半に円が水準を切り下げて週明けの日本時間朝の取引を開始。午後には一時101円29銭まで円安が進んだ。

ギリシャが議会採決などで一応ハードルを越えている状況にあり、目先は欧州財務相会合で進展具合を見たいという局面にある。この日の東京市場では、先週末に発表された中国の貿易収支統計を受けて、同国景気への楽観論を背景にオーストラリア・ドルが上昇し、クロス・円(ドル以外の通貨の対円相場)の円売りに繋がった。

ギリシャ議会は12日の採決で13年予算案を賛成167票、反対128票で可決。ユーロ圏の財務相らはこの日の欧州時間に会合を開く。同会合では支援パッケージについて最終決定する可能性が低いとみられている。

欧州の当局者1人が9日に述べたところによると、16日に控えているギリシャの債務償還で懸念される資金繰りギャップへの対応策を模索する見通しにあるという。前週末の欧州債市場では、ギリシャの債務問題をめぐる懸念が緩和し、同国の10年債が上昇している。

これまでの経緯を踏まえて、本当にギリシャ向け支援が実施されるのか市場の疑心暗鬼は根強く、ユーロは底堅いものの、上値を試す展開ではない。

なお、朝方に発表された日本の7−9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比0.9%減、年率換算で3.5%減と、昨年10−12月以来、3四半期ぶりのマイナス成長となった。市場の想定通りの内容で、日本の景気が悪いと言うのは前から言われていたのであまり材料視されることはないとのこと。



●日本国債「債券先物続伸、株安やGDP統計で−長期金利9年ぶり低水準に警戒も」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD7KLR6K50Y501.html

債券先物相場は続伸。国内株安や7−9月期の実質国内総生産(GDP)が3四半期ぶりにマイナス成長となったことが支えとなった。半面、長期金利が9年ぶり低水準に接近していることへの警戒感が相場の上昇を限定的とした。

米大統領選後の海外株安・債券高の流れや欧州懸念が根強く、長期金利の水準が正当化されるような相場の強い地合いが続いている。朝方発表された7−9月期の実質GDPについては、予想通り悪く、今後も経済指標の悪化が続きそうなため、材料出尽くしで売る展開にもなりづらい。

現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物の325回債は、午前11時過ぎに、8月3日以来の低水準となる前週末終値と横ばいの0.73%で寄り付いた。その後も同水準での推移が続いている。

長期金利は7月下旬に2003年6月以来の低水準となる0.72%を記録した。足元では同水準まであと1ベーシスポイント(bp)に接近しており、金利水準の低さに対する警戒感が出ている。0.72%の水準を思い切って買う向きがいない。

また、株価がこれだけ安いにもかかわらず、債券市場にあまり動きがない。今晩の米債市場が休場となることや5年債入札を控えていることも要因か。



●まとめ

ギリシャ予算案は一応通過⇔今後の最終決定にやや懐疑。
・「財政の壁」への懸念続く⇔やや極端な反応という声も。
・フランスの鉱工業生産指数/中国の人民元建て新規融資が落ち込み。

・海外時事→やや円買い圧力は弱まるものの、外貨売り/円買いは継続→円安。
・円安+GDP悪化+中国経済悪化+企業が業績/利益予想を下方修正→株価マイナス。
・円買い+株価低下→債券買い=価格上昇=利回り低下⇔金利の低さに警戒で買控え。


今日のひとこと

公的資金を証券・保険会社に回すのはちょっとヤバいんじゃないかなと思っている。
・先輩がインサイダー取引の規制をモデル化して「現行の仕組みでは犯罪抑止にならない」と言っていたけど、似たようなモデルで今回の問題点も指摘できるのではないか。
・あと、いわゆる警察や学校、行政の不祥事問題も似た構造なのではないか、などと。