12月04日のマーケット

12月04日(火)のニュース、経済指標をまとめました。
インフラ整備・公共事業に関する政策論が加熱しつつあるようです。

要点

・11月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数が低迷+「財政の壁」懸念。
・ドル下落→リスクオフ(回避)で日本円に集中→対ユーロ、対ドルで円上昇。

・米指標低迷+円上昇→輸出関連株、素材関連株は下落。
・政治による円安期待+インフラ整備需要期待→内需関連株は上昇。
・揉み合い状態。TOPIXは小幅に4日続伸。日経平均株価は4日ぶり反落。

・昨日:債券から株式や外貨へのシフト。債券売り。
・今日:10年債入札順調→買いが優勢に=債券価格上昇=利回り低下。
・市場では高値警戒感が出ており、相場の上値は重い。


時事

衆院選争点に公共事業、景気と財政めぐり−トンネル事故の余波も
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ME6UWK6TTDSN01.html

中央自動車道で発生したトンネル崩落事故により、衆議院選挙の争点の1つに公共投資が浮上。野党は東日本大震災を踏まえた防災機能の強化や生活インフラの更新といった公共事業費の増額を景気対策も兼ねる形で主張。一方、脱・公共事業を掲げて政権交代を実現した民主党は財政健全化も念頭に慎重姿勢を示す。


三菱UFJサムライ債引受で苦戦、バンカー採用で首位奪還へ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEHIL20YHQ0X01.html

三菱UFJフィナンシャル・グループは、現在苦戦しているサムライ債(円建て外債)の引き受け業務を強化。来年の首位奪還を目指す。新たにバンカーを採用+提携関係にある米モルガン・スタンレーの海外の担当者に、同業務により焦点をあてるよう協力を仰ぐ。ニーズについて、日本における債券スプレッドの縮小から、これまで国内の債券を大口で買っていたような投資家が、サムライへフォーカスしている動きがある。


大洪水から1年、日本企業がタイに積極投資−バーツに先高観
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEHE4N6KLVR801.html

タイで過去70年で最悪の洪水から1年。日本企業がタイ向け投資を増やしていることから、為替相場見通しの専門家はタイ・バーツが来年1−3月(第1四半期)に他の東南アジア通貨を上回るパフォーマンスとなると予想。1.5%の上昇率で、インドネシア・ルピアの1.2%、マレーシア・リンギットの0.9%、シンガポール・ドルの0.5%を上回る可能性が高い。


IMF、一定状況での各国の資本規制支持−歴史的な方針転換
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEHP9C6JTSEG01.html

国際通貨基金IMF)は、ある一定の状況で各国が資本規制策を講じることを支持する立場を表明した。国境をまたいだ無制限の資本フローを支持する立場からの歴史的な転換を公式に発表したもので、今後のIMF助言の指針となる。利下げなど各国の経済政策余地がほとんどない場合や資本流入急増が金融安定を脅かす場合などに、資本規制が有効になり得ると説明した。

→参考資料[※PDF注意] http://www.imf.org/external/np/pp/eng/2012/111412.pdf
【THE LIBERALIZATION AND MANAGEMENT OF CAPITAL FLOWS: AN INSTITUTIONAL VIEW】


株式

TOPIXは小幅に4日続伸、内需や石油高い−紙パ、素材軟調重し - Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEH8T90YHQ0X01.html


東京株式相場は、TOPIXが小幅に4日続伸。
TOPIXの終値は前日比0.24ポイント(0.03%)高の781.97。
日経平均株価は25円72銭(0.3%)安の9432円46銭で4日ぶりに反落。

先月14日に衆院解散の流れが決まってからの急ピッチな上昇に息切れ感が出てきた。目先の利益確定売りに押されやすい局面だが、選挙後に円安を推し進める政策が打ち出されるとの期待から、投資家の買い意欲は強く、押し目買いは入ると見られる。


[上昇要因]

国内政治の変化を背景にした先高期待が強く、投資資金は輸出関連から内需関連株へ流れた。業種別ではその他金融、小売、証券、陸運などが上昇。海外原油市況の続伸を受け、石油株も高い。

個別銘柄では、通期業績見通しを上方修正したピジョンが急伸し、11月の米自動車販売が好調だったホンダも高く、東証1部の売買代金でトップ。TOPIXの上昇寄与度でも1位だった。

中央自動車道トンネル事故を契機に、老朽化したインフラ整備需要の発生観測から日本橋梁、ピーエス三菱など橋梁関連株は続伸。ただ、前日急伸の低位建設株の一部は反落するなど、資金の逃げ足の速さも目についた。


[下落要因]

米国統計の低調、為替の円安一服が懸念されて、鉄鋼や非鉄金属など素材関連、精密機器など輸出関連株の一角は売りが先行。米供給管理協会(ISM)が3日に発表した11月の製造業景況指数が3年4カ月ぶりの低水準に落ち込み、米景気の先行きに懸念が広がった。

33業種の下落率1位はパルプ・紙。メリルリンチ日本証券では、印刷用紙の価格下落が加速しており、製紙各社の価格環境悪化は想定以上と分析。王子HDと日本製紙グループ本社北越紀州製紙レンゴーの投資判断を各1段階引き下げたことが売り材料視された。


為替

ユーロが対ドルで6週間ぶり高値付近、米国懸念が支え−円はじり高 - Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEH9X36JTSEZ01.html


[USD-EUR]

東京外国為替市場ではユーロが対ドルで高値推移。欧州の債務懸念が和らぐ一方、米国の「財政の崖」問題や同国経済に対する懸念がくすぶった。弱い米指標や財政協議の難航など、本来ならばリスクオフ(回避)でドル買いになってもおかしくないが、ドル指数も足元弱くなっており、ドルの地合いは弱い。

11月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数が、2009年7月以来の水準に低下したこともユーロ買い・ドル売りを後押しし、一時、10月23日の高値に並ぶ1.3076ドルまでユーロ高が進んだ。午後4時現在のユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.3067ドル前後。


[JPY-USD/EUR]

軟調なアジア株を背景にリスク回避の動きから円はじり高。ドル・円相場は1ドル=82円30銭付近から一時82円04銭まで円が上昇、ユーロ・円相場も1ユーロ=107円半ば付近から一時107円04銭まで円が買われる場面が見られた。

弱い米経済指標を受けて米株が引けにかけて売られた海外市場の流れを引き継いでおり、アジア株も軟調となる中での円買いというのは、いつものリスクオフの時の延長。そもそも円の売り持ちが相当積み上がっており、円の買い戻しは出やすい地合いだ。


[Background]

ユーロ圏財務相は3日の会合終了後、ギリシャが債務削減を進める上で鍵となる国債買い戻しの成功を確信していると表明。ギリシャ政府が2023年から42年の間に償還期限を迎える100億ユーロ相当の国債の買い戻し手続きを開始したのを受けたもので、同政府は投資家の需要を高めるため、当初の計画よりも高めの価格を提示している。財務相らは、ギリシャ支援の次回供与分344億ユーロの実行に向け13日に次回会合を開く。

一方、米国では政府と議会は6000億ドル余りの歳出削減と減税失効が年明けに重なる「財政の崖」の回避に向けて協議に入ったが、交渉は行き詰っている。そうした中、共和党は一段の歳出削減を実現するため連邦債務の法定上限引き上げを再び交渉材料に使おうとしている。これは米国をデフォルト(債務不履行)の瀬戸際に追い込み、米国国債の格下げに至った昨年の手詰まり状態の再現となる。

商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマーカンタイル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)でドル・円先物取引非商業部門の円の売り越しは11月27日時点で7万9466枚まで拡大し、円を借り入れ高金利通貨で運用する円キャリー取引が全盛だった2007年以来の高水準となった。

オーストラリア準備銀行(中央銀行)は4日、政策金利を0.25ポイント引き下げて3%にすると発表。これは2009年の世界的リセッションの間に設定された約50年ぶりの低水準で、利下げは過去1年2カ月で6回目。利下げ発表後、豪ドルはいったん売られたが、その後に反発。利下げでも豪ドルがあまり下がらなかったので、少し買い戻しが入った。


債券

債券先物、10年債入札結果順調で午後に一時上昇転換−高値警戒が重し - Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEH7H96JTSEH01.html


債券先物相場は午後に上昇に転じる場面があった。午前は売りが先行したものの、10年債入札の順調な結果を受けて買いが優勢になった。半面、市場では高値警戒感が出ており、相場の上値も重かった。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物の325回債利回りは前日比横ばいの0.705%で始まり、午前は同水準で推移。午後の10年債入札結果発表後には0.5ベーシスポイント(bp)低い0.70%に低下した。5年物の106回債利回りは横ばいの0.17%。

超長期債は朝方は売りが先行したが、午後に買いが入った。20年物の140回債利回りは同0.5bp高い1.69%と、11月22日以来の高水準で始まった後、徐々に水準を切り下げ、一時0.5bp低い1.68%まで低下。その後は横ばいの1.685%で推移している。30年物の37回債利回りは0.5bp高い1.955%を付けた後、一時0.5bp低い1.945%まで低下。その後は横ばいの1.95%で取引された。今週6日の30年債入札に向けた調整の動きで、昨日から売られていたが、10年債入札結果がしっかりだったことを受けて、買い戻しが入った。

東京先物市場で中心限月の12月物は、前日比6銭安の144円81銭で始まり、10銭安の144円77銭まで下落した。しかし、午後零時45分の入札結果発表後には買いが優勢となり、一時は3銭高の144円90銭と、前日に付けた日中取引ベースでの2003年6月以来の高値に1銭まで接近した。引けにかけて伸び悩んで、結局横ばいの144円87銭で引けた。

財務省が発表した表面利率0.7%の10年利付国債(326回債、12月発行)の入札結果によると、最低落札価格は99円70銭となり、市場の事前予想を1銭上回った。小さければ好調とされるテール(最低と平均落札価格の差)は2銭と、前回の1銭からやや拡大。投資家の需要の強さを示す応札倍率は3.85倍と、前回の4.05倍から低下した。


今日のつぶやき

日経ビジネスの2013予測が面白かったです。社会を俯瞰する企画があちこちで行われるのも年末年始の魅力でしょうかね。