12月20日のマーケット

2012年12月20日(木)の経済指標をまとめました。
日銀会合はまずまずの結果ですが、市場は連日の過熱感から反動を受けているようです。

概要

・米財政協議が難航→市場はリスクオフに→ドル売り/米国債買い。
・日銀会合は予想の範囲内→前日までの過熱感から反転=円買い=円高方向へ。
・円安ストップ+市場の過熱感に警戒→輸出関連など日本株は売り=株安。
・米債上昇+日銀会合が予想範囲内+連日の反動→日本債買い=価格上昇=利回り低下。

株式

日本株は輸出中心反落、米楽観後退と過熱−日銀会合は予想内
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MFAVC21A74E901.html

東京株式相場は反落。
TOPIXの終値は前日比0.73ポイント(0.1%)安の838.61と7営業日ぶりの下落。
日経平均株価は121円7銭(1.2%)安の1万39円33銭と4日ぶりの下落。
日産自動車など輸出関連株が安く、直近の上げが目立ったパルプ・紙株も軟調。<要因1>

米国で財政計画に関する協議への楽観が後退。共和党は合理的な妥協をすることができなかった。米国の指導者はクリスマスまでに解決すると今も言っているが、市場参加者の見方は慎重だ。

ベイナー米下院議長は19日、下院で20日に採決予定の自身の増税案を民主党が受け入れない場合、「米国史上最大の増税」の責任をオバマ大統領が負うことになると訴えた。共和党提示の代替案について、ホワイトハウスは大統領が拒否権を行使する考えだ、と説明している。オバマ政権当局者は産業界の指導者に対し、ベイナー下院議長との財政協議が過去24時間に後退したと告げた。 <要因2>

日本銀行金融政策決定会合後の円強含みや短期的な相場の過熱感が警戒された。

きょう行われた日銀会合では、基金の長期国債購入を5兆円増額、短期国債購入を5兆円増額し、基金総額は101兆円へと拡大した。また次回会合で、中長期的な物価安定について検討を行うことも決定。会合結果判明後の日本株は荒い値動きとなり、TOPIXは一時的にプラスに転じる場面もあったが、為替市場で円が強含みになるとともに失速した。

緩和をやるだろうということは分かっており、発表結果に特段のサプライズはない。ただし、10兆円は拡大幅としては小さい金額ではなく、物価安定のめどに対する考え方や新たな緩和ツールなど、今後に対する期待から失望にもなりにくい状態。日本株は過熱感があり、連騰のあとでの一休みと言ったところか。


為替

円全面高、米財政協議への楽観後退で−日銀緩和後に一段高
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MFAVZO6TTDU001.html

東京外国為替市場では円が全面高となった。


米国の財政協議への楽観が後退し、リスク回避に伴う円買いが先行。米国の財政の崖をめぐる協議については、最終的にぎりぎりで何かしら妥協案が出てくる可能性が高いだろうが、足元ではやや止まっている印象がある。いったん市場はリスクオフ(回避)で円買いになりやすい。

ドル・円相場は前日の海外市場で昨年4月12日以来の水準となる84円62銭まで円安が進行。この日は、早朝の取引で1ドル=84円40銭前後から一時83円94銭まで円が急伸。その後84円前半へ戻した。

日本銀行はこの金融政策決定会合で追加緩和を決めたが、目先の材料が出尽くした感もあり、午後には再び円買いが優勢となり、最終的には83円86銭まで円高が進んだ。日銀会合の結果は市場予想の範囲内だが、円の売り持ちも積み上がり、クリスマス休暇や年末が近づく中で、短期的にはいったん調整局面、といった状況か。


ユーロ・円相場も前日の海外市場で昨年8月以来の円安値1ユーロ=112円50銭を付けたが、その後は円買いが優勢となり、この日の東京市場では一時110円74銭まで円高に振れた。

なお、自民党安倍晋三総裁は、日銀が追加金融緩和を決定したことで、衆院選で同党が訴えてきたことが実現に向かっているとの認識を示した。

また、日銀の追加緩和はここ4カ月で3回目。石田浩二審議委員は実質的な下限金利である補完当座預金制度適用利率を「0.10%」から「0%」に引き下げることを提案したが、8対1の反対多数で否決された。


債券

債券は反発、米債安や投資家の買いで−日銀緩和決定後に上げ幅縮小
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MF9LY76JIJUY01.html

債券相場は反発。前日の米国市場で債券高・株安となったことや前日までの下落の反動で投資家などからの買いが先行した。一方、日本銀行はきょうの金融政策決定会合で追加緩和を決めたが、予想範囲内との見方から売りが優勢になり、上げ幅を縮小した。

外部環境の改善で債券市場では先物や10年債に買いが入った。米国の『財政の崖』をめぐる不透明感が根強く、もうしばらく米国市場に揺さぶられる展開。また、円安や今年度補正予算編成に伴う増発懸念があっても、追加緩和観測で金利は上がりにくく、5年債利回り0.1%台後半は押し目買いとの見方も。 <先物>

東京先物市場で中心限月の2013年3月物は6営業日ぶりに上昇。前日比4銭高の143円92銭で開始し、その後はじり高推移となり、午後の取引開始後には144円17銭まで上昇した。しかし、午後1時前後に日銀会合の結果が伝わると水準を切り下げ、一時は143円95銭まで伸び悩んだ。終盤にかけて持ち直し、結局は13銭高の144円01銭で引けた。<長期>

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の326回債利回りは同1.5ベーシスポイント(bp)低い0.765%で開始。午後に入ると、0.755%まで低下したが、日銀会合の結果発表後には0.77%と低下幅を縮めている。5年物の107回債利回りは1bp低い0.175%に低下していたが、その後は0.18%に下げ幅を縮小。


今日のつぶやき

勤務先のNGOでかつて働いていた大学院生の論文を読んだ。
気候変動枠組み条約の経済分析がテーマで、なかなか面白かった。